こんにちは!の~ざんです。
今回は、出産のときのお金についてのお話をしようと思います。
なぜ今更出産のときの話なのか?
出産を経て数カ月が経っていても、もしかしたらこの記事で救われる人がいるかも知れないからです。
僕は、ある健康保険組合での業務に携わっています。
健康保険のお仕事はというと、主な内容は、健康保険証を発行したり、会社員(被保険者)やその家族(被扶養者)が病気やケガとしたときの様々な給付を行ったりしています。
例えば、被保険者が病気で仕事を休むことになったときに給付する傷病手当金、骨折などで病院を受診した際に作る治療用装具の代金の一部を補填する償還払い、出産したときの一時金などを給付しています。
この中にもある出産したときの一時金について、とてももったいないことをしている人が何人もいます。
なんと、その一時金を請求すれば手に入れることができるのにも関わらず、忘れてしまっているんです!
なぜそんなことが起こるのか、これからお話を進めていきます。
この記事でわかること
- 出産したときの一時金の請求を忘れてしまう原因は?
- 一時金はいつまでに請求すればいい?
もくじ
出産育児一時金と直接支払制度
出産育児一時金とは、健康保険(会社員の健康保険や国民健康保険、公務員の共済組合をいいます。)に加入している人が、妊娠12週以上の出産をしたときに、その加入している健康保険から給付されるお金のことです。
一般的には42万円と言われますが、これは出産をする病院や助産院が産科医療補償制度に加入している場合です。
産科医療補償制度に加入していない病院や助産院で出産する場合は、40万4千円となります。
この記事では、わかりやすくするために「42万円」を使って説明します。
また、出産の場所は産科の病院や助産院などがあろうかと思いますが、すべて「病院」にまとめて説明します。
まず、出産する病院で、出産前に「直接支払制度」を利用するかしないかを選ぶことになります。
「直接支払制度」とは、出産育児一時金の42万円について、病院が個人に変わって立て替えて、後で健康保険に病院が請求することができる方法です。
これによって、出産するときに、出産費用の全体から42万円を引いた残りのみを病院に支払えばよいことになります。
逆に直接支払制度を利用しないとなると、一旦は出産費用の全部を病院に支払い、あとで健康保険に請求して42万円を給付してもらう手続きになります。
利用してもしなくても、どちらが得ということではありません。
どちらを選ぶかはその人の好みによります。
ただ、直接支払制度は、出産時の金銭的負担を和らげるためのものなので、後から健康保険に42万円をまるまる請求する手間を考えると、利用した方が煩わしくはない、といったメリットはあります。
直接支払制度についてまとめると次のようになります。
〇「直接支払制度」を利用するとき
病院には出産費用から42万円を引いた残りを支払えばよい!
〇「直接支払制度」を利用しないとき
病院には一旦出産費用の全部を支払い、あとで健康保険に手続きして42万円を受ける!
なぜ請求忘れがあるの?
実は、直接支払制度を利用するときには、あとから健康保険に42万円を請求する手間が省けるというメリットがありますが、注意すべきことがあります。
それは、出産費用は42万円を超えるものばかりではないということです。
確かに、直接支払制度には出産費用から42万円を引いた残りのみを病院に支払えばよいというメリットもありました。
ところが、これは出産費用が42万円を超えることを前提としています。
当然、病院によっては出産費用が20万円~30万円で済むところもあります。
同じ出産でも、帝王切開を伴う処置だったか、入院したときの部屋が個室だったか相部屋だったかなど、様々な要因で出産費用の金額が違ってきます。
病院自体の施設の充実度も関わってきます。
出産費用が42万円未満だったとき、直接支払制度では、病院は健康保険に42万円ではなく、実際にかかった出産費用しか請求しません。
例えば、実際の出産費用が30万円だったとき、42万円との差額である12万円は病院のものにはなりません。
この差額の12万円を、出産した人が受け取れるんです!
このことについて、知らない人やうっかりしている人が多いのです。
病院の受付でも、請求できる差額があることを丁寧に教えてくれるとは限りません。
これが直接支払制度を利用したときに、陥りやすいところなので注意してくださいね。
この差額を手に入れるには、健康保険に請求します。
請求方法は、加入している健康保険に問い合わせてみてください。
差額は出産から2年以内であれば請求できる!
ここまで読んで、「請求を忘れてた!」という方、諦めないでください。
出産から2年以内であれば、差額を請求できます。
心あたりのある方は、出産したときの「出産費用明細書」を取り出してみましょう。
出産費用と「代理請求受取額」が同じであれば、差額が発生しています。
もし、出産費用が42万円で「代理請求受取額」が42万円であれば、差額はありません。
「出産のときの明細書は捨ててしまった~」という方は、病院に直接問い合わせてみてもいいかも知れませんね。
まとめ
これまでのことをまとめると、次のようになります。
- 出産費用の明細書を確認してみましょう!
- 直接支払制度を利用して、出産費用が42万円未満だと差額を請求できる!
- 差額の請求は2年以内に!
僕の仕事での経験上、請求忘れは少なからずあります。
請求できるお金をみすみす逃してしまうよりも、手に入れられるものは手に入れて、子どもの成長に役立てていきたいですね!
健康保険にまつわる話について、【健保組合担当者が語る】子ども医療費が無料になる訳とは!?でも記事を書いています。
良かったら読んでみてください。
今回も最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました!